2012年9月4日火曜日

今日読んだ本と感想。

内容紹介

女性がつかうべき女らしい言葉が「最近,乱れてきた」と,100年以上も嘆かれ続けるのはなぜなのか――近世から現代までの日本社会の価値や規範,庶民の憧れや国家イデオロギーが埋め込まれてきた,もうひとつの日本語「女ことば」.各時代のさまざまな言説と言語学の知見からその魅力と不思議を読み解く.

目次

はじめに
序章 女ことばという不思議
女性の言葉づかいは千差万別/ルールとマナー/習得することば/翻訳の世界/女らしさ以外の価値/「最近の」言説/言語行為/言語イデオロギー/言説が構築する/○○について語る/歴史的言説分析/積み重なる価値  
第1部 「女らしい話し方」―規範としての女ことば
 
一章 マナー本は鎌倉時代からあった
況して婦人は静かにして奥ゆかしきこそ/女訓書の流行/女子庶民の手習い/男尊女卑から「つつしみ」へ/維新後も変わらない女訓書/妻・嫁から女性国民へ/「女は話すな」と「言うべき時は言え」/現代でも有効な規範
二章 ルールはどのように強化されるのか
起源としての女房詞/女房詞への憧れ/式亭三馬の笑い/男も使う/「男は使うな」/女房詞と女訓書/女房たちの創造性
 
第2部 「国語」の登場―知識としての女ことば
 
三章 男ことばの特別な男らしさ
国語イデオロギー/東京基準の標準語/東京語もいろいろ/言文一致論争の不思議/男女の話し言葉は異ならない?!/「男の国語」/国語の隠れた男性性/口語文典と国語読本/書生言葉/「たまへ」と「てよ」「だわ」/「男ことば」は特殊扱い
 
四章 「女学生ことば」誕生
女学生のセリフ/学問する女への苛立ち/書生言葉の女子学生/「てよだわ言葉」/「遊ばしやがるんだとさ」/言文一致小説/ハイカラに/「てよだわ」の普及/軽薄さ/女学生ことばの定着/めす猫も「てよ・だわ」/性の対象となる/セクシュアリティ/標準語のセクシュアリティ/女学生ことばの力/ジェンダー化し国民化する/「よくってよ」小説/内なる他者、女子国民/女の創造性をとり込む/「国語」と「国民化」  
第3部 女ことば礼賛―価値としての女ことば 1
 
五章 「女ことばは日本語の伝統だ」
日本を背負う言葉/起源は女房詞と敬語/天皇制と女房詞/起源の捏造・伝統の創造/日本の誇り「女ことば」/国語の守護者/植民地政策/ひとつではなかった国語/日本語の優秀さの証/女ことばへの賞賛/ナショナリズムの時間的矛盾/変われない女ことば/戦後も続いた伝統化/女性の言葉の乱れが気になる  
六章 「日本語には女ことばがある」
女性の言葉と兵隊の言葉/言葉の性差/「例外」として/女学生ことばも国語/女性用という但し書き/女ことばは標準語だけ/『アサヒ読本』の性別/歓迎された女の国民化/銃後の守り/家族国家観/総動員体制と国語の性別/特定の任務
 
第4部 「自然な女らしさ」と男女平等―価値としての女ことば 2
 
七章 「女らしさ」と女ことば
占領政策と男女平等/「女ことば」批判/「女ことば」擁護/社会的な・自然な女ことば/男女平等から「女ことば」を守る
 
八章 日本語には、なぜ女ことばがあるのか
「国語の性別」を教え続けた教科書/天皇制国家から切り離す/墨塗りされない部分/「ぼく」と「わたし」の教科書/国語学者と人権意識/天皇制を破壊する男女平等/家族国家観の危機/生き延びた女ことば
 
 
おわりに

まず、本書を読み終えた感想として、「若者の言葉遣いが乱れてきている、女性の言葉遣いが乱れてきている」と多くの日本人がいう、ってあったけど、私自身はそう感じたことがないので、ピンとこない部分が沢山あった。(私自身の言葉遣いが乱れすぎてるのか、たまたま私のまわりには言葉遣いが乱れてない、言葉づかいが奇麗な人が多いのか。。)

興味深かったのは、作られた女言葉、男言葉等について。今まで気にしたことなかったけど、確かに言われてみると不自然で普段使わないような日本語を、自然に受け入れてることに気づく。不自然さのおかげで自然さを感じるっていうなんか矛盾してるようで面白いなあと感じた。

ただ、そのことに気づいてしまったので、これから吹き替えの映画や翻訳された小説を読むときに、今まで通り不自然さによる自然さを享受できるかちょっと心配に。><

ということで、日本語、国語、女言葉等の不思議さを感じるきっかけになってよかったなあと感じたけど、考えるときにだけ考えて、普段は気にしすぎること無く程よく意識して、本書で知ったことを日常生活で適度に感じながら楽しめたらいいなあと思った今日この頃。

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